2026.10.16
採用サイトとコーポレートサイトを分けるべきか?製造業の費用と更新負荷で考える

「採用ページだけ作り直したいが、コーポレートサイトと別に持つ必要があるのか」——設備メーカーや部品加工会社の採用担当から、この相談をよく受けます。
予算100万円前後で動いている中小製造業にとって、サイトを分けるか一本化するかは「見た目の好み」ではなく、費用・更新負荷・採用効果に直結する判断です。正解はひとつではありませんが、自社の状況に合うパターンを選べていない会社が多いのも事実です。
この記事では、コーポレートサイトと採用サイトを「分ける」「一本化する」「中間型(採用特化ページ)」の3パターンを比較し、製造業の現場感覚で整理します。
採用サイトをコーポレートサイトと分ける費用と製造業での現実
採用サイトを独立したドメインで別途制作する場合、コーポレートサイトとは別に50〜100万円前後の制作費がかかるのが一般的です。合計すると初期費用だけで150〜200万円規模になることもあります。
たとえば、産業用ポンプの部品を受託加工している従業員40名ほどの会社を想定してみます。コーポレートサイトには「技術仕様・材質対応表・認証情報」などBtoB向けの硬い情報が並んでいます。一方、採用候補者が知りたいのは「どんな職場か」「先輩はどう働いているか」「残業はどのくらいか」といった情報です。この2つは読者も目的も違うため、サイトを分けること自体には合理性があります。
ただし、分けた後の更新負荷が見落とされがちです。会社概要・沿革・代表メッセージなどの共通情報は2サイトで二重管理になります。総務担当が兼任で運用している場合、どちらかが放置される状態になりやすく、採用サイトの「2年前の求人情報がそのまま残っている」という状態は応募者の信頼を逆に損ないます。
一本化(コーポレートサイト内に採用ページを設ける)パターンの特徴
コーポレートサイトの中に採用専用セクション(例:/recruit/以下のディレクトリ)を設けるパターンです。制作費はサイト全体で80〜150万円程度に収まることが多く、予算100万円前後の製造業には現実的な選択肢です。
一本化の最大のメリットは更新窓口がひとつであること。担当者が1〜2名しかいない中小企業では、これは小さくない利点です。また、自社の技術力や取引実績が同じサイト内にあるため、「ちゃんとした会社かどうか」を採用候補者が確認しやすくなります。特に中途採用で技術職を狙う場合、会社の仕事内容が見えることは安心感につながります。
一方でデメリットもあります。コーポレートサイトのデザインが硬い・古いまま採用ページだけを追加しても、求職者への訴求力は限られます。また、採用に特化したSEO(検索対策)を打ちにくいという弱点があります。「○○市 機械加工 正社員」といったキーワードで上位を狙う場合、専用ドメインのほうが施策を集中しやすい面があります。
中間型「採用特化ページ」という現実的な選択肢
近年、中小製造業で増えているのが「コーポレートサイトとは別URLだが、ほぼ採用情報に特化したランディングページ的なサイト」を20〜40万円程度で作るパターンです。

たとえば、樹脂成形の金型を設計・製造している従業員60名の会社では、既存のコーポレートサイトはそのままにして、採用特化の1〜3ページ構成のサイトを別途制作するケースがあります。社員インタビュー・職場写真・募集要項・エントリーフォームをシンプルにまとめたもので、indeed や求人サイトからの流入先URLとして使います。
この形の利点はコストを抑えながら採用訴求に集中できる点です。ただし、ページ数が少ないため情報の深さには限界があり、「この会社でどんな技術が身につくか」といった踏み込んだ内容は書きにくい構造です。採用ブランディングより「まず応募数を増やしたい」という短期目標に向いています。
3パターンの費用・更新負荷・採用効果を比較する
どのパターンが自社に合うかを判断するために、主要な指標を整理します。費用は制作費の目安であり、CMS(更新システム)の整備状況や写真・テキスト素材の有無によって変わります。
| パターン | 制作費目安 | 更新負荷 | 採用SEO | 向いている状況 |
|---|---|---|---|---|
| 完全分離(別ドメイン) | 150〜250万円 | 高い(2サイト管理) | ◎ 施策を集中しやすい | 採用予算が確保でき、専任担当がいる |
| 一本化(コーポレート内) | 80〜150万円 | 低い(窓口ひとつ) | △ 技術情報と混在する | 担当兼任・予算100万円前後 |
| 採用特化ページ(中間型) | 20〜50万円 | 中程度 | ○ 絞ったKWに集中可 | 既存サイトを活かしつつ採用強化したい |
上記はあくまで目安です。たとえば「コーポレートサイトをリニューアルするタイミングに合わせて採用セクションを強化する」のであれば一本化が費用対効果が高く、「既存サイトはリニューアルできないが採用だけ急ぎたい」なら中間型が現実的です。
製造業が判断するときに確認しておきたい3つの問い
パターン選びに迷ったとき、以下の3点を先に社内で確認しておくと、制作会社への相談もスムーズになります。
- 採用サイトを誰が更新するか:専任がいないなら、管理窓口が増えるパターンは避けたほうが無難です。更新されないサイトは採用にマイナスになります。
- 採用ターゲットは地域密着か、全国・転職市場か:地元の工業高校・高専からの新卒が中心なら、コーポレートサイト内の採用ページで十分な場合もあります。転職サイトやindeedからの流入を狙うなら、SEOを意識した構成が必要です。
- コーポレートサイト自体の状態はどうか:既存サイトが5年以上更新されていないなら、採用ページだけ追加しても見た目のちぐはぐさが残ります。その場合はサイト全体のリニューアルと採用強化をセットで考えたほうが結果的に安くなることがあります。
まとめ
採用サイトとコーポレートサイトを分けるかどうかは、予算・更新体制・採用ターゲットの3軸で判断するのが現実的です。予算100万円前後・担当者兼任の中小製造業なら、一本化か採用特化ページ(中間型)が多くの場合に合います。完全分離は採用効果を最大化できますが、2サイトを継続的に更新できる体制が前提です。自社のリソースを正直に見積もったうえで、パターンを選ぶことが長期的な採用コンテンツの質を守ります。
BtoB企業の技術発信と採用コンテンツを、制作から月次運用まで担当しています。まず現状のサイトを無料で診断します。

