2026.9.29
ShopifyのB2B機能が全プラン開放|製造業・卸売業が自社ECを見直す理由

「うちはBtoBだからECは関係ない」と思っていませんか? その常識が、2026年春を境に大きく変わろうとしています。ShopifyがB2B向け機能を全プランに開放する方針を打ち出したことで、これまでコストや技術面がネックだった中小の製造業・卸売業にも、本格的な自社ECの選択肢が現実味を帯びてきました。
本記事では、ShopifyのB2B機能アップデートの概要を整理したうえで、「導入すべきかどうか」を判断するための軸と、スモールスタートできる導入ステップをご紹介します。自社の営業効率や受注フローに課題を感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ShopifyのB2B機能、何がどう変わるのか
もともとShopifyのB2B機能(企業顧客向けの特別価格設定・請求書払い・発注上限管理など)は、上位プランであるShopify Plusのみで利用できる仕様でした。これが2026年春をめどに、スタンダードプランを含む全プランへ段階的に開放される見込みです。

具体的に使えるようになる主な機能は次のとおりです。
- 会社アカウント管理:取引先ごとに担当者・権限・与信を設定できる
- 顧客別価格・ボリュームディスカウント:A社には卸値、B社には定価など柔軟な価格設定が可能
- 注文書払い(Net支払い):後払い・請求書発行に対応し、BtoBの商慣習に合わせられる
- 最低発注数・発注単位の設定:ケース単位や10個単位での発注をシステム側で強制できる
- カタログの出し分け:ログインした取引先ごとに表示商品・価格を切り替える
これらを月額数万円のプランで使えるようになると、これまでフルスクラッチや高額パッケージに頼るしかなかったBtoB ECのコスト構造が根本から変わります。
製造業・卸売業が抱える「受注業務の非効率」という共通課題
製造業・卸売業の受注業務をヒアリングすると、驚くほど共通した悩みが出てきます。電話やFAXで注文を受け、担当者が手作業でExcelや基幹システムに転記する。確認の電話を折り返し、在庫を調べて、再度連絡する——こうした一連の作業が毎日繰り返されています。
この非効率は「慣れているから仕方ない」で済む話ではなく、次の問題に直結します。
- 担当者の工数が増え、新規開拓に使える時間が削られる
- 転記ミスによるクレームや返品対応が発生する
- 担当者が退職すると受注ノウハウが失われるリスクがある
- 深夜・休日の注文に対応できず機会損失が生じる
こうした課題の多くは、受注をデジタル化するだけでかなりの部分が解消できます。Shopify B2Bはその手段として、現実的な選択肢になってきました。
導入すべきかどうか、3つの判断軸
ただし、「使えるようになった=すぐ導入すべき」とは限りません。自社に合うかどうかを判断するための軸を3つ整理します。

① 取引先数と注文頻度
取引先が10社以下で注文頻度も月数件なら、システム化よりも現状の運用改善で十分かもしれません。一方、取引先が30社以上あり、毎日複数の注文が入るなら、ECによる自動化の恩恵が大きくなります。
② 商品の標準化度合い
規格品・型番品が中心であれば、ECとの相性は非常に良いです。反対に、毎回仕様が異なるカスタム品・見積もり必須の商品が大半なら、まずは標準品だけをEC化するところから始めるのが現実的です。
③ 既存顧客の受け入れ態勢
長年の取引先がデジタルに慣れているかどうかも重要です。担当者がシステムを使える環境にあるか、社内の承認フローをオンラインに移せるか、事前に主要取引先へヒアリングしておくと導入後のトラブルを防げます。
スモールスタートできる導入ステップ
「全部一気に移行しなければ」と構えると、プロジェクトが止まりがちです。次の4ステップで段階的に進めることをおすすめします。

- 現状の受注フロー棚卸し:どの商品・どの取引先の注文が多いかを整理し、EC化の優先順位をつける
- Shopifyで限定公開サイトを構築:まず主要取引先3〜5社に絞ってテスト運用。フィードバックを集める
- 価格・決済・カタログの設定を整備:取引先ごとの価格設定・後払い設定を順次整える。この段階でミスが起きやすいので、制作会社と連携するのが無難
- 対象取引先を順次拡大:運用が安定したら取引先を増やし、最終的に新規顧客向けの問い合わせ動線も整備する
ポイントは「既存の受注フローをいきなり廃止しないこと」。EC経由と従来経由を並行運用しながら、取引先が慣れてきたタイミングで切り替えると摩擦が少なくなります。
まとめ
ShopifyのB2B機能が全プランに開放されることで、製造業・卸売業における自社EC構築のハードルは大きく下がります。受注業務の非効率に悩む中小企業にとっては、ちょうど良い見直しのタイミングといえるでしょう。導入の判断は「取引先数・商品の標準化・既存顧客の受け入れ態勢」の3軸で考えると整理しやすくなります。まずは主要取引先への限定公開サイトからスモールスタートし、運用を積み上げながら範囲を広げていく進め方がリスクを最小化できます。自社のEC化を検討したい場合は、実績のあるShopifyパートナーに相談することをおすすめします。

